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野口恵子『バカ丁寧化する日本語敬語コミュニケーションの行方』
野口 恵子
『バカ丁寧化する日本語敬語コミュニケーションの行方』
世の中が変わって、言語コミュニケーションの経験を積むのが容易でなくなってきたのは事実だ。習慣化されれば苦労することなく身につくが、経験したくとも、習慣自体が時代とともに消滅してしまうこともある。それは、電話でのやりとり一つとっても言えることだ。
携帯電話が普及する前は、中学生や高校生が友達と電話で話したいと思ったときに、必ず通らなければならない関門のようなものがあって、そのための敬語を身につけさるを得なかった。最初に受話器を取る可能性のある、友達の家族、特に親、特に父親への口のきき方を学ぶという「通過後礼」だ。
友達の母親とはある程度気心も知れていて、「タロウですけど」と言えば、「あら、タロウちゃん、元気?ちょっと待ってね」とすぐ友達を呼んでもらえた。または、タロウの近況や家族の安否が話題になって、ひとしきり、言ってみれば世間話をしたものだ。親しい友達の母親でも、他人であることに変わりない。そのような存在と言葉を交わすことによって、他者とのコミュニケーション経験を積むことができたのだ。
母親ならまだ気が楽だ。友達の父親の場合、特に男子生徒が女子生徒の家に電話をかけたときに父親が出たりしたら、純情な高校生は緊張してしまう。「山田さんのお宅でしょうか。A高校の山下と申しますが、ハナコさん、いらっしゃいますか」とだけ言うのに、途中で三回ぐらい言葉に詰まるのだ。
昔の子供たちは、大方、こうした「プチ敬語」体験を積んで、大人になっていった。今の子供は、こういった経験ができなくなった。別の言い方をすれば、こんな気づまりな思いをしなくてもよくなった。このことだけをとって、今の子が幸せかそうでないか判断することはできない。ものごとの一面だけを見ても何もわからない。電話で用いる敬語を実地訓練で身につける機会は確かに減ったが、敬語に関してわからないことがあったら、インターネット上で気軽に質問して、たちまちのうちに回答を得ることができるようになった。
敬語を身につけるのも自己責任になったということか。方法はある。少なくなったとはいえ機会はあるのだから、それらを積極的に利用する。映画や小説で疑似体験を積む。周りの大人たちのコミュニケーション行動を観察する。そして、きちんと敬話の使えている大人を見つけて、その人が話しているのをよく聞いて、真似をする。
大人のすべきことは、手本となるように努めることだ。何度もやってみせる。繰り返し聞かせる。そして、やらせてみる。よい見本になる自信がなかったら、自信をつける。中高年は学習が好きだから、すぐに覚えるだろう。思い出すだろう。できるようになると自信がつく。その姿をまるごと、若い人に見せればいい。
野口恵子『バカ丁寧化する日本語敬語コミュニケーションの行方』光文社による
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